価値観 concept of values 2003 8 6

 価値観は、ひとつでない。
価値観は、多様である。
 かつて、日本が戦争で負けた時、こんなことがあった。
占領軍の司令官であるマッカーサーは、
日本の国王にあたる昭和天皇と会見し、その高貴さに感動したという。
そのマッカーサーも、最初は、日本人から恐怖の目で見られたが、
最後は、尊敬の目で見られるようになった。
 マッカーサーが、退任で、日本を離れる時に、
20万人以上の人が、見送りをしたとされる。
 マッカーサーも、単なる軍人ではなく、
理想も高く、精神性も高かったという点が評価された。
アジアに精通していたマッカーサーが、天皇のよき理解者であったかもしれない。
しかし、最近は、単なる軍人ばかりで、理念も精神性もない軍人が多い。
 さて、かつて、中東の地には、ペルシャという栄光の国があった。
確かに、軍事力は強かったが、
単に軍事力だけでは、歴史に埋もれてしまったはずである。
 このペルシャという国には、「文明の高さ」と「誇りの高さ」があった。
つまり、他の国に比べて、精神性が高かったのです。
それゆえ、歴史にペルシャという栄光の名前が残っている。
単に軍事力だけの国は、歴史の重さに耐えられず、歴史に消えている。
 さて、現代。
中東のある国が、射程距離の長いミサイルを開発しているという。
このミサイルは、改造すれば、ヨーロッパまで届く可能性があるという。
あくまで仮定であるが、もし、そうなった場合、
このミサイルの射程の延長線上には、
イタリアのミラノ、スイスのジュネーブ、フランスのパリが見える。
 しかしながら、歴史に残るのは、どうなのか。
軍事力だけの国は、歴史の重さに耐えられず、歴史に消えている。
歴史に残るのは、「精神性の高貴さ」こそが残るのである。
軍事力という価値観は、歴史の重さには、耐えられない。
この価値観は、歴史の風に消える「砂の塔」である。
 これは、人間にも言える。
どんなに財産を築いても、どんなに名誉を築いても、
歴史の風に消える「砂の塔」である。
どんな財産も、どんな名誉も、歴史の前には、砂の塔である。
歴史に残るのは、「精神性の高さ」だけである。